MARTHと共に屋久島の地に世界の見本となる地球のモデルルームをつくれることを誰よりも楽しみにしていた、世界的建築家 鈴木エドワード氏は、志なかばにして2019年秋 あまりにも愛の意識が強くなってしまったため未知へと還ってしまった。

 

ノートルダム大学時代から敬愛していたバックミンスター・フラーの事務所に近いから、ハーバードを選んだというエドワード氏。大学院時代はフラー&サダオオフィスでアルバイトをしていたほどフラーの建築のみならず、その思想「ワールドゲーム」に大きな共感をいだいていた。

 

Lastraの敷地内に30年ほど前、MARTHのレコーディングスタジオ兼コンサートホールとして、もともとフラードームは建設されていた。

 

MARTHと共に屋久島の視察に訪れ、これを目にしたエドワード氏は大感動し、当時、解体予定だったフラードームの復活を切に願った。エドワード氏の熱き思いを受け取ったMARTHは、ドームの屋根を葺き替えることとし、やがて16m高の大きなドームに新たな生命が吹き込まれたのだ。

Lastra

Edward Suzuki & MARTH

Architecture: Nature & Technology Combined

−エドワードのメッセージより−

私は、大学生時代に、あるコンペに参加する際に初めてバックミンスター・フラーが発明したフラー・ドームを知りました。軽い球体の建築を調べた中で、ダントツに優れていたシステムでした。これは構造的に最も強い“三角形”を基本のモジュールとし、三角形のパーツをいくつも組み合わせて球体に近い形状を造る、世界で最も効率のいいシステムの建築として知られています。

なぜなら、球体、つまりドームの部分は、表面積に対して体積の比率が大変高いことから、空間を囲うシステムとしては非常に優れているわけです。無駄がなく、一番効率がいい形状のものが存在しているのは、自然界です。デザイン、形状、そして、そのシステムを可能にしている原理を自然界から発見し、ローカルな環境に応用していったのです。地球上の微生物などが、フラー・ドーム型の形状をしていることは明らかなのです。

究極の美は、人類の真の才能として
人の深き可能性の中、そのバランスは秘められている。
美しさを感じるハートは習ったものではなく
まるで神から与えられたと言っても良いような
ゴッドデザインである…。
Ultimate beauty and its balance are hidden deep within
human possibility as a true talent of humanity.
The heart to feel beauty is not something learned but is a
God’s design which we could say it is given by God.

Edward Suzuki Design

鈴木エドワード建築設計事務所株式会社
代表 故 エドワード 鈴木 氏

Profile

鈴木エドワード建築設計事務所 代表。
1947年埼玉県生まれ。ノートルダム大学、ハーバード大学大学院アーバンデザイン建築学部卒業後、1974年バックミンスター・フラー・アンド・サダオ、イサム・ノグチスタジオ、1975?1976年丹下健三・都市建築設計事務所を経て、1977年鈴木エドワード建築設計事務所設立。さいたま新都心駅や渋谷警察署宇田川派出所、下鴨の家など、公共施設から個人邸、集合住宅まで幅広く手がけ、グッドデザイン賞、エコビルド賞など数々の賞を受賞している。科学、原子構造、哲学、形而上学などにも造詣が深い。著書「神のデザイン哲学:GOoD DESIGN」他

設計哲学

私は、自然との一体感を持つことが何より好きで、常に自然体であろうとする。「自然」を感じること。建築設計上、どんなに限られた条件であれ、必ず自然を感じさせる、空間の立体構成をなす。日本の伝統的な知恵(庇・縁側)、自然エネルギー(通風・光)等を取り入れ生かすこと。また、最大の特徴はそこに「感動」があること。日々感動があり、日々幸せ感をもたらすものでなければならない。デザインとは、そのような「感動」を人々に与えることである。